ニーズアセスメント 竹腰重徳
ビジネスアナリシスは、「ニーズアセスメント」「ビジネスアナリシス計画」「要求の引き出しと分析」「トレーサビリティとモニタリング」「ソリューション評価」の5つの領域で構成されている。 「ニーズアセスメント」の活動は、現状の組織の内外環境や組織の能力を評価し、将来のあるべき組織能力に適合するために、ビジネスの問題あるいは機会を見つけ出し、実現可能なソリューションを決定することである。 「ニーズアセスメント」の目的は、組織にとって戦略的または戦術的に重要なビジネスニーズを特定し、組織の方向性にあったソリューションを特定することで競争力のある製品・サービスを提供するためで戦略性を持っている。 「ニーズアセスメント」の活動は、プロジェクトを立ち上げる前に実行され、なぜプロジェクトをやるのか、プロジェクトの発足理由を明確にするためのプロジェクト前の活動である。しかし、プロジェクトが開始した後でも組織を取り巻く環境は変化しており、環境変化がプロジェクトに及ぼす影響を分析しながら、プロジェクトを進めていくことが勧められる。アジャイルプロジェクトは、環境変化に容易に対応できることが価値観のひとつであるが、プロジェクト期間中、製品やサービスの責任者であるプロダクトオーナーあるいはビジネスアナリストが、環境の変化に対する「ニーズアセスメント」を行い、価値ある変化に対応していくことが望まれる。 PMI-PBA(1)によると、「ニーズアセスメント」の活動は以下のようなステップで実施する。 ① ビジネスの問題や機会を特定する 対象となるステークホルダーを特定する 問題や機会をブレーンストーミング、インタービュー、観察などから特定する 問題や機会を整理し、ステークホルダーの承認を得る ② 組織の現状をアセスメントする 組織のゴールや目標をアセスメントする 内部環境や取り巻く外部環境を調査し組織の現状を理解する 問題や機会の原因を特性要因図や5Whysなどを利用して分析する 原因の解決に要求される能力を決定する 組織の現状能力をアセスメントする 要求される能力と組織の現状能力とのギャップを特定する ③ 能力ギャップを解消するためのソリューションを提示する 複数のソリューションを特定する それぞれの制約、前提、リスクを特定する 運用、技術、財務、開発期間の視点でソリューションの実現可能性をアセスメントし、最も実現可能なソリューションを提示する 選択されたソリューションの費用便益分析をする ④ ビジネスケースを以下のような内容の文書にまとめて経営幹部に承認を得る。 状況の把握(問題や機会) 状況の分析(ギャップ分析) ソリューション提案(実現可能性分析と費用便益分析) ソリューションの評価計画(KPI:Key Performance Index) ビジネスケースは、プロジェクト目標を決定する際のベースになり、プロジェクト憲章作成へのインプットとなる。ビジネスケースの文書化に関し、ウォーターフォールプロジェクトとアジャイルプロジェクトでの違いはないが、アジャイルの場合、リーン(ムダ削減)の原則に則り、内容は必要最小限の軽量の文書にすることと、早期機会実現のメリットも含むことが望ましい(2)。 以上 参考資料 (1)PMI®、Business Analysis For Practioners、2015 (2)Mike Griffith,PMI-ACP®Exam Prep,RMC,2012 |
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